機上の九龍

The kowloon on an aeroplane

空論 グラスロード 2-(3) 3-4ラウンドの戦術

既に『グラスロード / Glass Road』の記事はupしたのですが、読み返してみてとても読み辛いと感じたので改めて書いてみます。

空論 グラスロード 2-(1) 概要

空論 グラスロード 2-(2) 1-2ラウンドの戦術

空論 グラスロード 2-(3) 3-4ラウンドの戦術

空論 グラスロード 2-(4) 専門家

空論 グラスロード 2-(5) 加工建物(1)-評価

空論 グラスロード 2-(6) 加工建物(2)-分析

空論 グラスロード 2-(7) 即時建物(1)-評価

空論 グラスロード 2-(8) 即時建物(2)-分析

(ボーナス建物を執筆予定)

 今回は3-4ラウンドの戦術について。

 

『グラスロード』も他のエンジンビルド要素があるゲームと同様、前半はエンジン構築に勤しみ、後半で得点行動を取るのがコツとなります。

『グラスロード』は4ラウンドで終了するので、基本的に序盤の1-2ラウンドは資源を増やせる加工建物やコストの安い即時建物を建設し、終盤の3-4ラウンドでは増えた資源を得点化するためにコストの高い即時建物やボーナス建物を建設します。

 

...と、抽象的な事ばかり書いても分かりにくいでしょうから、流れを具体的に書いてみます。

3-4人プレイが前提で、あくまで私のパターンだという事を念頭に置いてください。

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1ラウンドの建物ボードがこのような配列だった場合、どのボーナス建物に狙いを定めますか?

 

1) 3ラウンド 建物

3ラウンドは概ね4ラウンドでボーナス建物を建設するための下準備をするラウンドです。ゲームを通じて木材と粘土は常に必要ですが、3ラウンド前後に建てたい高得点建物はガラスかレンガ (もしくは両方) も必要となるため、他の資源も疎かにはできません。

ここで重要となるのが、「空論 グラスロード 2-(1) 概要」で既に書いた「資源はなるべく建物で増やす」という視点です。

仮にガラスを生産するのに「木炭 / 水 / 食料」が足りない場合、専門家だけで生産しようとすれば

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例えば《焼き畑農家》ダブルアクションと《水運び人》が必要となります。

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これを、《木炭窯》《湯治場》《無料食堂》でチェーンが組めていたなら、木材2あれば木炭も水も食料も供給できます。

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例えば《木こり》のシングルアクションで足ります。

詳しくは加工建物の回で解説する予定ですが、チェーンを組めると

資源を増やせる

必要な資源の種類を減らせる

生産する専門家の数を減らせる

(全ての専門家が出せるとは限らないこのゲームにおいて、安定性が増します) 

このようなメリットがあります。(まだありますが割愛)

理論上はゲームが後半になるにつれ加工建物の有効性は下がりますし、チェーンが常に組めるとも限りませんが、特に必要な資源の種類を減らせる場合には、3-4ラウンドの建設でも加工建物は十分効果的です。

 

ボーナス建物を建設する場合もあるにはあります。

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特に《養魚場》《水門》《浴場》といった地形を参照するボーナス建物は、他のプレイヤーからみても狙いが明確なため、獲得競争となりがちです。早めに取らざるを得ない場合もあるでしょう。

ただ、《養魚場》のようにコストの安いボーナス建物ならともかく、《浴場》のような高コストのボーナス建物を建設した場合には、資源を使い切ってしまった結果、4ラウンドで息切れする恐れがあります。

 

3ラウンドで特に有効なのが得点のある即時建物です。

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例えば《穀物庫》は資源5つ消費して資源が最大2増えるにも関わらず、何故か2点も付いてます。

比較対象として、加工建物の《木彫り工房》は資源6つ (ガラス1を資源5として計算) 消費するので、資源量を2増やすには加工を8回繰り返す必要があります。6+8=14資源使ってようやく16資源になり2資源増える計算になりますが、それでも1点しか入りません。

(後で説明しますが、ガラス1を資源5、レンガ1を資源3として計算することは、ひとつの目安となります)

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《材木倉庫》はわずか資源1つ消費で1点付いてます。序盤に隣接する空きスペースを確保するのは難しいですが、森を除去していれば3ラウンドなら少なくとも木材4を得られる場所はあるでしょう。

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《漁場》は資源8 (ガラス1を資源5、レンガ1を資源3として計算) 消費しますが、2点付いています。配置時に池を「食料3+水1」に変換できるため、池を2つ消費すれば資源量は変わらずに2点、3つ消費すれば逆に資源が4増えます。(資材が溢れなければの話ですが)

即時建物は『グラスロード』の中では最も効果がバラエティに富んでいるため、一概に資源の増減だけで判断はできませんが、資源をあまり減らさず (たまに増やして) 得点の入る建物が多いです。その代わり空きスペースが必要だったり、林が必要だったりと効率的に働かせるにはある程度仕込みが必要な建物も多いのもまた事実。

上手く活用できれば資源が枯渇することなく得点も伸ばせますし、4ラウンドにボーナス建物を建設するための資源を増やせれば言うことなしです。

 

2) 3ラウンド 専門家

3ラウンドは最もパターン化しにくいラウンドです。

※注 あくまで個人的な戦略です。また、2人プレイだと別の視点が必要となります。

80%

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40%

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 15%

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10%

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0%

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目安となるのはやはり「どれだけ資源を建物で増やせるか」です。

基礎資源 (木材 / 木炭 / 水 / 食料 / 粘土 / 珪砂) の中で、最も建物で生産できるのは粘土と食料です。「木材と粘土は重要な建設資材です」とマニュアルの8pにも書かれているように、粘土を生産する建物は最重要です。

粘土とは逆に、食料は粘土ほど重要ではありませんし、大量に必要となる場合は稀です。それにも関わらず食料を生産する建物が多いため、専門家に頼らず生産し易い...言わば「潰しやすい資源」です。

特に3ラウンドからは食料確保の重要性が増します。ガラスやレンガを生産するのはもちろん、

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いつ《建築士》を出されても、バッティングで出してコストを払える体制をキープできるかが勝敗の分かれ目になる場合すらあります。乱暴な言い方をすると

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いかに《養魚家》を頼らず食料を確保できるか」が鍵となります。

 

個人的には3ラウンドだと建設する専門家を3人選ぶ事が多いですが、1-2ラウンドで上手くいかなかった時や、使いやすい即時建物が無い場合には2人選ぶ場合もあります。1人しか選ぶ余裕が無いときはほぼ負けパターンです。チェーンが上手く組めていた場合には4人フル投入することもあります。

 

《領主》は1-2ラウンドよりも基本的に有効性は下がりますが、

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手元の建物をコストとする、これらの建物があるなら入れた方が良い場合が多いでしょう。

 

3) 4ラウンド 建物

基本的にはボーナス建物を建設し、その建物の得点を最大化することを目指します。

ラウンド開始時の狙いが上手く嵌ることもあれば、柔軟な対応を強いられることもあります。

(相対的な建設コストを見積もるために、ガラスは基礎資源5個、レンガは基礎資源3個として数えてください)

『グラスロード』 ゲームの手引き p19

上でも触れ、マニュアルにこう書かれているように、ガラスとレンガを基礎資源 (木材 / 木炭 / 水 / 食料 / 粘土 / 珪砂) に換算し、基礎資源あたりの得点 (以後「得点効率」とします) を算出すると、ある程度の目安となります。

詳しくはボーナス建物の際に書く予定ですが、大まかに言えばボーナス建物は

建設コスト (低 / 中 / 高)

ボーナス参照 (地形 / 資源 / その他)

に分類できます。

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「地形参照」のボーナス建物は得点効率が高めに設定されています。例えば《狩猟小屋》はわずか木材1で3点、得点効率3.00はこのゲームにおいてダントツの数字です。

《森林官の番小屋》は1.33、《屋敷》は林4枚で0.57、3枚で0.43となります。

残念ながら「地形参照」のボーナス建物は得点効率が高いので強い、という単純な話ではありません

《森林官の番小屋》なら追加で林を3枚置く必要があるため、意外と手間が掛かりますし、何より4枚の林を示された形に配置できなければ0点なのでリスクは高いです。《狩猟小屋》は手間は掛からないものの、他の地形を参照する建物との共存は難しく、少ないスペースでのやりくりを強いられます。

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また、最も得点効率の悪い《農場》でも「1スペース辺りの得点」 (『グラスロード』ではスペースもまた重要な資源です) で見れば1点ですが
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《狩猟小屋》だと森1枚が2スペース分なので、9スペースで3点。「1スペース辺りの得点」0.33点と、0点と-1点の建物を除けば最低の数字となります。逆に言えば、「1スペース辺りの得点」が低いからこそ、「基礎資源あたりの得点」が高いとも言えます。

 

どちらかと言えば《狩猟小屋》のような「低コスト」&「地形参照」のボーナス建物は、資源があまり増やせなかった場合に有効です。

《屋敷》は林3枚でも比較的高い得点効率が得られるため、資源を増やせたなら比較的強い建物です。

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また、《小森の邸宅》《別荘》で《屋敷》の林2枚分を補えれば、手数の節約にもなります。

 

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資源参照のボーナス建物は、例えば《井戸小屋》は資源3で最大得点3点取れるので、得点効率は 3 / 3 =1.0 ...とは計算しません。残り資源も考慮に入れる必要があります

つまり、《井戸小屋》の得点効率は、3点取れる場合には 3 / (3+6) =0.33 となります。

《水車小屋》の得点効率は、7点の場合には0.5、6点なら0.43となります。

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基本的に資源参照のボーナス建物は、スタート時から狙いに行く建物ではなく、その資源を加工建物で生産できる体制が整ってから狙う建物となりがちです。逆に言えば、《水車小屋》が建設ボードにあるなら、《桶屋》の重要度は増すでしょう。どの資源参照のボーナス建物も、低コスト建物は建設がし易い代わりに得点効率が低く、高コスト建物は得点効率が高いです。

 

地形や資源以外を参照する建物は4枚ありますが、どれも効果が安定しないのが欠点です。その代わり、安定しないが故に高い得点効率を出せることがあります。

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今の私なら、1ラウンドの建物ボードがこのような配列だった場合、間違いなく狙うのは《ガラス工の工房》です。

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実際のプレイでは《地区事務所》《湯治場》《温泉》《造園事務所》《庭園》と建てていたため、得点効率は 9 / 5 = 1.8 と高効率。これだけガラスを消費するには莫大な資源が必要となりますし、概ね《ガラス工の工房》は4~5点取る場合が多いですが、それでもかなり高い得点効率となります。

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状況にもよりますが、『グラスロード』で強いボーナス建物は何か?と聞かれれば、私は《開墾地》《木骨造りの家》《ガラス工の工房》《硬質レンガ工場》と答えるでしょう。

 

加工建物を建設するメリットはかなり下がります。

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特に《木彫り工房》のように、1点付いてるもののガラスを消費するため差し引き0点になるような建物だと顕著です。ただし、《倉庫》のように食料を参照するボーナス建物を建設する場合や、食料を増やすことによって他のボーナス建物の建設コストに充てられる場合は例外となります。もちろんチェーンが組める場合も例外になり得ます。

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意外と見落としがちな点として、珪砂を増やす建物は価値が上がります。例えば《砂採取場》の得点自体は0点なので一見地味ですが、建設後に水3を珪砂6に変換できれば、建設コストを含めて水4で3点入って得点効率は0.75とハイアベレージになります。

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《地区事務所》は例外的に得点目的だけでも建設する建物です。資源6の3点で得点効率は0.5。《木彫師の家》が似たような建設コストの資源6で、それに加えて木材6残してようやく3点、得点効率0.25なのと比較すれば破格です。(《木彫師の家》が弱いという話もありますが)

 

即時建物は4ラウンドでも有効な場合が多いです。

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例えば《穀物庫》はボーナス建物と比べても遜色ない得点効率0.4なのにも関わらず、資源量は増えます。増えた食料でガラスやレンガが出来ればそれ以上の得点を取ることもあるでしょう。

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《レンガ倉庫》は資源4で1点ですが、増えたレンガがそのまま得点になる状況なら実質3点の建物となりますし、《石工ギルド》があるなら7点増えることもあるでしょう。

 

ほとんどの場合はゲーム終了までにボーナス建物を1つか2つ建設しますが、理論上はボーナス建物が無くても勝てる得点は取れますし、ボーナス建物をたくさん建設すれば勝てる訳でもありません。

とは言え詰めの得点計算は『グラスロード』特有の考え方が必要という訳でもないので、他のボードゲームをプレイしている人ならそれほど難しくはないはずです。

 

4) 4ラウンド 専門家

4ラウンドはほぼ選ばれる専門家が固定されています。

※注 あくまで個人的な戦略です。また、2人プレイだと別の視点が必要となります。

100%

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95%

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20%

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15%

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10%

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5%

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0%

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個人的には建設できる専門家をフル投入しつつ、残りの専門家1人を選ぶことになります。《大工》を選ばない時は森が1枚も残せなかった場合で、《建築士》を選ばない時は食料が枯渇している場合のみです。(もちろん、そうならないように3ラウンドで計画は立てていますが)

ただし、慣れるまでは建設できる専門家をフル投入するのは難しいでしょう。特に4ラウンドは建物の奪い合いになるため、建設したい建物を先に取られると建設アクションが無駄になることもままあります。

3ラウンドまでに資源を柔軟に生産できる体制を整えられるかが鍵となります。また、《領主》で手元に置いた建物は終盤の安定性にも寄与します。

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とは言え、4ラウンドに《領主》を出してワンチャンに掛けるのはリスクが伴います。

4ラウンドでは木材が大量に必要となる場合が多いので、木材を生産する専門家は比較的選ぶ確率が高いです。

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最後に。建物でも触れましたが珪砂は直接得点へと結びつくため、4ラウンドでは価値が上がります。珪砂は得点効率0.5とボーナス建物並に高いので、採掘坑や池が3枚以上あるなら《坑内労働者》や《池造成者》で珪砂を増やして得点を稼ぐという手もあります。