機上の九龍

The kowloon on an aeroplane

空論 グラスロード 2-(6) 加工建物(2)-分析

既に『グラスロード / Glass Road』の記事はupしたのですが、読み返してみてとても読み辛いと感じたので改めて書いてみます。

とか言いながら今回はちょっと読み辛いです...

空論 グラスロード 2-(1) 概要

空論 グラスロード 2-(2) 1-2ラウンドの戦術

空論 グラスロード 2-(3) 3-4ラウンドの戦術

空論 グラスロード 2-(4) 専門家

空論 グラスロード 2-(5) 加工建物(1)-評価

空論 グラスロード 2-(6) 加工建物(2)-分析

空論 グラスロード 2-(7) 即時建物(1)-評価

空論 グラスロード 2-(8) 即時建物(2)-分析

(ボーナス建物を執筆予定)

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今回は加工建物の分析。

※基本的に3-4人戦を前提に書いています。

 Uwe: “The Processing buildings are the most important buildings in the early game.If you concentrate on the first Processing buildings you get and make good use of them, you are very likely to win the game.”

ウヴェ:加工建物はゲーム序盤で最も重要な建物です。最初に獲得した加工建物に集中してうまく利用した場合、あなたは十中八九ゲームに勝利するでしょう。

"Glass Road " Game Instructions p16 

何度も引用しますが、加工建物はゲーム序盤で最も重要な建物です。

個人的には加工建物はゲームを通じて最も重要な建物だとすら考えています。

 

そもそも、加工建物には以下のメリットがあります。

基本的にいつでも変換を使える (ただし、2つ例外があります)

変換すれば資源量は増える

(実質的に) ストックできる資源の最大値を増やせる

その結果として、手数を節約できることが最大のメリットとなります。

加工建物なしで勝ち負けできる25点前後を取ることも可能ですが、個人的には1ゲームで10軒前後を建設し、概ね半分が加工建物、1~3軒のボーナス建物、残りを即時建物といった配分が多いです。

 

1) 加工建物構成

全30軒

a) 資源変換 17軒

a-1) 1:2変換 13軒

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a-2) その他資源変換 4軒

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b) 地形変換 10軒

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c) 建物タイル変換 3軒

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2) 加工建物分析

a-1) 1:2変換

個人的には加工建物はゲームを通じて最も重要な建物だと考えていますが、『グラスロード』が上手くなるうえで最もコツが必要なのは1:2変換の加工建物でしょう。

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1:2変換の加工建物には、通常の加工建物の特長に加え、さらに以下のメリットがあります。

チェーンが組める

資源管理がし易くなる

(ホイールストッパー含む)

「チェーン (非公式名称) 」とは、「加工建物で変換した資源を、他の加工建物の原料として使える状態」のことを指します。

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例えば《湯治場》《無料食堂》でチェーンを組んだ場合、木炭1→水2→食料4と変換の連鎖ができあがります。

このようにチェーンが組めると、加工建物の長所をより多く引き出すことができます。

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例えば池2枚ある時に【養魚家】でダブルアクションできた場合、木炭1を食料4に変換できます。

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《湯治場》《無料食堂》の両方を建設した場合も、木炭1を食料4に変換することができます。ここまでは【養魚家】と同じです。

しかし、【養魚家】をプレイした時と違って

アクションを消費しない

木炭さえあれば何度でも変換できる

基本的にいつでも変換できる

木炭1→水1+食料2の組合わせでも変換できる

これだけのメリットが出てきます。

加えて、加工建物があれば実質的にストックできる資源の最大値を増やせますが、チェーンだとそれがより顕著に出ます。

食料は両方のホイールにあるので、ストックできる資源は片方で7、両方で14までストック可能です。

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《無料食堂》があれば、水7を食料14に変換できるので、実質的に食料を最大28までストックできるとみなせます。

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さらに《湯治場》《無料食堂》でチェーンが組めていれば、木炭14を食料56に変換できるので、理論上は食料を最大84までストックできることなります。そこまで食料が必要になる場合はありませんが、結果的に食料をレンガ / ガラス生産分を含め20以上消費した、なんてことは起こりえます。

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変換の流れが「木材 → 木炭 → 水 → 食料 / 粘土 → 珪砂」となっているので、1:2変換だけで最大で4連鎖まで可能です。基本的にはチェーンが組めるかどうかはタイルのめくれに依存しますが、「一つ下流への変換を優先的に取ること」と【領主】を積極的に活用すれば、その確率は上がります。
ただし、チェーンを組むのはあくまで点数を稼ぐ手段のうちの一つであって、目的ではないことは忘れないで下さい。

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他の1:2変換と一切チェーンができない《砂囲い》を優先して取った方が良い場合もあるでしょう。

また、1:2変換の加工建物があればホイールストッパーの管理が容易になります。
ホイールストッパーとは、「何かの基礎資源を0にして、ガラスやレンガへの自動変換を防ぎ、基礎資源 (主に木材か粘土) を減らさないようにする工夫」のことです。

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ガラスホイールの資源が木材4,水3,木炭2,食料1,珪砂0の状態で珪砂2を得た場合、

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画像のように自動で基礎資源が1減り、ガラス1が生産されます。

『グラスロード』においてガラスやレンガへの自動変換は最優先処理 (次に即時建物効果の処理) なので、珪砂2を得た後、ガラスへの自動変換の間に加工建物の変換を割り込ませることはできません。

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ただし、《無料食堂》で水を全て食料に変換した後に珪砂2を得る処理を行って、ガラスへの自動変換を防ぐことは可能です。このように、加工建物の原料となる資源はホイールストッパーにしやすくなります。

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逆に、加工建物の生産物となる資源がホイールストッパーだった場合、これを外しやすくなります。(水を増やせばホイールが回転するので当たり前ですが)

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そして、《湯治場》《無料食堂》とチェーンが組めていた場合、水はホイールストッパーとして運用することも、運用をやめることも容易になります。

実際のところ、ホイールストッパーを運用する頻度は高くありませんが、どれだけ資源管理に融通が効くかが分かると思います。 

 

a-2) その他資源変換

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変換するのに水とその他の資源が必要な《灰汁製造所》《寄宿舎》《粘土置き場》は、2つの資源が揃ってはじめて変換できる分、1:2変換の加工建物より使い勝手に劣ります。

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とは言え、水に変換できる《湯治場》《桶屋》があるなら、この欠点はある程度解消されます。他のプレイヤーが使いにくい分競争率が下がる場合が多いですが、「コスト的にそれしか建設できない」などの理由で取られる場合もあるので、油断は禁物です。

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特に《粘土置き場》は競争率はかなり高いでしょう。変換効率が悪いので基本的に《粘土坑》よりは弱いですが、ノーコストなので変換が3回以内なら《粘土坑》より資源効率は良いです。

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《砥石製造所》は基本的に得点カードですが、珪砂への連鎖が繋がっているか、珪砂が得点にならない状況なら実際に変換することもあるでしょう。

 

余談になりますが、『グラスロード』第1版で《砥石製造所》は3枚コンボのうちの1枚でした。
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画像引用元:BOARD GAME QUEST Glass Road Review

第1版では《(屋根葺き商会)  / Roofing Company》という「レンガ1を基礎資源2に変換する」加工建物がありまして。画像では上列右から2番目の建物になります。

《砥石製造所》《Roofing Company》と、《砂囲い》のような珪砂に加工する1:2変換が揃うと

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木材2→珪砂4→珪砂1レンガ1→木材2珪砂1→珪砂5→...

といったように、3枚コンボで資源の無限増殖ができました。

さすがに強すぎたらしく、第2版で《Roofing Company》は削除されました。即時建物もボーナス建物も31軒あるのに、加工建物が30軒と1軒足らないのはこういった理由です。

また、変換の流れが「木材 → 木炭 → 水 → 食料 / 粘土 → 珪砂」となっていて、逆の流れが存在しないのは《Roofing Company》のように無限増殖が出来てしまうのが理由でしょう。

 

b) 地形変換

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林 / 池 / 採掘坑 は、好きな時にノーコストで除去ができますが、『グラスロード』において森は概ねデッドスペースで、基本的にコストにする専門家が必要となります。

(個人的には毎ラウンドの【大工】と、1ラウンド目【焼き畑農家】、2~3ラウンド目【木こり】になる事が多いです。)

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《製材所》《入植用住居》《指物屋》があれば、森をコストにする専門家を使わずして森を除去することができます。個人的には4ラウンド【大工】のために森1枚残しておくことを推奨しますが、4ラウンド目に建設できる専門家をフル投入する必要が無い場合にはその限りではありません。

また、2人プレイでは相手が積極的に森をコストにする専門家を出し易くなるため善し悪しです。《製材所》があるにも関わらず、裏をかいて【木こり】を忍ばせるプレイも時には有効でしょう。(予想が外れた時に悲惨ですが)

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森 / 林 / 池 / 採掘坑 全てに木材2へと変換する加工建物があるのも特徴です。木材は粘土に次いで建設コストに充てる事の多い資源ですが、木材を原料とする1:2変換の加工建物が5軒 (要するに他の基礎資源全てです) あるため、最も消費の激しい資源となる場合が多いです。

特に木材は資源変換の最上流にあり、木材に変換する1:2加工建物が存在しないため、水や食料のように他の基礎資源でストックしておく、といったテクニックが使えません。すなわち、《製材所》《養樹園》《葦のあばら屋》《森林官のあばら屋》のコストに使える地形として木材をストックするしか方法がありません。

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粘土は3枚の1:2変換、1枚の2:3変換がありますが、それらの建物が手に入らないなら《建築士のあばら屋》《工務店》は是が非でも取りたい加工建物です。

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《沼地のあばら屋》《農場》は、直接建設に使う資源を生産しない分、使い勝手に劣ると個人的には考えています。【池造成者】の上アクションでは資源が増えない点もマイナス。

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とは言え池を利用する専門家が【養魚家】もいますし、《砂の島》など池を参照する即時建物もあるのが池の特長なので、それらを有効活用できれば活路はあります。

 

『グラスロード』において、森を配置する専門家や建物は存在しませんが、

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 林 / 池 / 採掘坑 を配置する専門家や建物はいくつか存在します。これらの専門家や建物と組み合わせることによって、より地形変換の加工建物を有効に利用できることとなるでしょう。

 

c) 建物タイル変換

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《事務所》《地区事務所》《屋根板製造所》は、コストに「手元の建物列にある建物タイルをゲームから除外する」必要があります。

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すなわち【領主】上アクションと組み合わせて初めて活用できます。

 【領主】で手元に置いたタイルを全て建設するのは稀で、3枚に1枚を建設する場合が多いです。2回【領主】を出せれば概ね4枚が手元に残ってしまうので、これらの建物を建設する意味が出てくるでしょう。
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《事務所》は最も使い勝手がよく、「資源が1足りない」ような状況を打破してくれます。

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《地区事務所》は地形が得点になるボーナス建物や、地形をコストに資源へと変換する加工建物と使うと効果的です。基礎資源6で3点あるので、能力を1度も起動せずに点数目的だけで建設することもあります。

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《屋根板製造所》も決して弱くはないのですが、粘土3余っていてレンガが足りない状況ってのはそれほど多くないかもしれません。とは言え1回起動する毎に1点入る計算にはなるので、最後のひと押しになる場合もあるでしょう。

どの建物も序盤の段階に拡大再生産として使われるよりは、中盤から終盤にかけて能力が使われる場合が多いです。

 

3) まとめ及び補足

※あくまで個人的な分析です。

粘土を生産する《粘土坑》《窯》《金物屋》は最優先

次善は地形を粘土にする《建築士のあばら屋》《工務店

森をコストにする《製材所》《入植用住居》《指物屋》も強い

地形を木材にする《製材所》《養樹園》《葦のあばら屋》《森林官のあばら屋》は有用

「一つ下流への変換」をする《木炭窯》《湯治場》《無料食堂》《粘土坑》《砂製造所》《砂選別所》は評価UP

強い加工建物でも基本的に変換をしなければ効果が薄れる