既に『グラスロード / Glass Road』の記事はupしたのですが、読み返してみてとても読み辛いと感じたので改めて書いてみます。
詳しい内容は各記事を御覧ください。
(ボーナス建物他を執筆予定)
1) 『グラスロード』の長所
- 拡大再生産のような楽しみを味わえる
厳密に言えば拡大再生産 (extended reproduction) ではなく 、エンジンビルド (Engine Building あるアクションの効果を高める構造)です。後半になればなるほど資源が増え、コストの高い建物も建設できるようになります。
- ダウンタイムが少ない
毎ラウンド15枚の専門家カードから5枚選ぶのですが、比較的時間の掛かるこの部分を全プレイヤー同時に行うため、他のウヴェ作品に比べてダウンタイム (analysis paralysis ≒ 待ち時間) が少なく、プレイ時間も初プレイでインスト (ルール説明) 込みで90分程度、慣れれば45-60分程度に収まるはずです。それでいて、120分級のゲームをプレイしたかのような悩ましさがあります。
- 読み合いが熱い
バッティングゲームなので、他のプレイヤーがどの専門家を選ぶのかを読むのが大切です。大抵のバッティングゲームは「他のプレイヤーが選ばなさそうな」カードを出すのがメインですが、『グラスロード』では「他のプレイヤーが選びそうな」カードを選ぶのも重要です。特に2人ゲームでは相手のカードにバッティングさせることによって、相手のアクション数を減らすことがメインとなります。
3) 『グラスロード』の短所
- 思い通りのアクションがしにくい
原因は「アクションを自由に行えない」「資源管理が難しい」の2点です。
「アクションを自由に行えない」理由はバッティングシステムで、他のプレイヤーが出した専門家を手札として持っていた場合、出さなければなりません。 (例外はあります)
このため、例えば「食料を得る専門家を出した後、コストに食料が必要な専門家を出す」と計画していても、先に食料が必要な専門家を食料が0の状態で出してしまい、結果的にアクションが不発になる場合があります。
「資源管理が難しい」理由は資源管理ホイールで、慣れるまではガラスを作ったら木材が無くなってしまったという状況が割と起こります。
逆に言えば、「なるべく多くのアクションをする」「アクションの順番が入れ替わっても問題がない」「資源をきちんと管理する」ように計画するのがこのゲームの醍醐味なので、短所と言うよりはむしろハードルと言うべきかもしれません。
- スタートプレイヤー有利
スタート時の建物ボード次第ですが、初期資源で建設可能な建物があるとスタートプレイヤー有利となる場合がままあります。逆に言えば、それが無ければほぼメリットは無いので、コミが必要なボードゲームという訳ではないと考えます。
- 最終ラウンドの選択肢が少ない
基本的に得点は建設することで得られるため、慣れてくれは4ラウンド目に選ぶ専門家は建設アクションのある【大工】【建築家】【耕作者】【納入業者】と後1人となりがちです。(一番上の画像でもそうなっています)
もちろん「どの建物を建設するか」という選択肢は残されているのですが。
- オンライン版がない
BGAにもyucataにもありませんし、アプリもありません。
以前はiOS / android版が存在しましたが、削除されたようです。 起動してもロクにゲームすら出来ないような代物でした。
- 入手困難
20.07.19現在、入手困難となっています。さすがにドイツではほぼ原価で売ってるようですが、米アマゾンですら98$。日本語版の新品はほとんど残ってないでしょう。中古でも1万円以上のプレミアが付いてるようです。
以前に一度日本語版は再販されたのですが、どうもその際に一時期在庫がダブついてたようで、近い未来に再再販される可能性は低そうです。タナカマさん何とかして!
※ 追記
2021年初夏にミニ拡張同梱版が出るようです。
3) 『グラスロード』のコツ 簡易版
ざっくりとした攻略法を書いておきます。
以下は概ねマニュアルにも書かれています。
- 木材と粘土が重要
建設コストとして最も必要となるのが粘土で、次が木材です。また、加工建物の加工コストとして最も使われるのが木材です。
木材と粘土さえあれば勝てる訳ではありませんが、建設コストに木材も粘土も必要がない建物はごく一部しかありません。いかに木材と粘土を確保するかが『グラスロード』では最重要だと個人的に考えています。
- 序盤は加工建物を重視
加工建物は一見パッとしません。例えば《金物屋》は木材1レンガ1のコストで1点の建物です。ゲーム終了時にレンガは基本的に1個1点になるので、事実上点数は増えません。 (たまに2点減ります)
しかし《金物屋》には (基本的に) いつでも木材1を粘土2に加工する能力があります。
実のところ、この能力はとても強力です。
何せ専門家は1ラウンドで5枚しか選べません。最高で1ラウンドに8アクション (3-4人プレイの場合) できますが、最低だと3アクションしかできません。その上アクションする順番は前後する可能性があります。そんなゲームにおいて、《金物屋》は木材さえあれば (基本的に) いつでも何度でも粘土に変換可能です...しかも2倍にして。
別の言い方をすると、『グラスロード』におけるエンジンビルド要素はほぼ加工建物となっています。エンジンビルド要素のあるゲームで、それを使うか使わないかで差がでるのは明白でしょう。また、後半になればなるほど効果も薄くなるのも当然です。
とにかく、序盤で使いやすい加工建物を建設し、能力をどれだけ起動できるかが『グラスロード』では重要です。
- 序盤はボーナス建物を軽視
某サイトの書き込みには「まず3列目のタイルを決める、そして取る」と書かれていますが、序盤に加工建物を建設することが重要なため、序盤にボーナス建物を建設することはほぼありません。(もちろん例外はあります)
とは言え、全く無視する訳でもありません。
例えば《浴場》が建設ボードにあるなら、予め《浴場》や池を配置するスペースを考えたり、終盤までに必要な資源をどう集めるかを考えておくに越したことはありません。
理論上は1ラウンドに《浴場》を建設することも可能ですが、他のプレイヤーが加工建物や即時建物を駆使して資源を増やしていたなら、後半逆転されることになるでしょう。
- 即時建物は序盤向きと終盤向きがある
マニュアルには作者のヒントとして「即時建物をゲーム序盤に建設することも、ゲーム終盤に建設することもできます」と書かれていますが、基本的に低コストは序盤向き、高コストは終盤向きです。
例えば《粘土の湖》は専門家【粘土運び人】と似たような効果で、序盤のブーストにはもってこいの建物です。得られた粘土で高得点の建物を建設できるなら、終盤でも価値はあるでしょう。
高コスト建物は別の資源に変換する建物が多いです。有効に使うには少し工夫が必要です。
例えば《貯水塔》なら粘土1レンガ3で4点。ゲーム終了時にレンガは基本的に1個1点になるので、事実上1点しか増えません。 (たまに5点減ります)
しかし、池の数を参照する専門家【池造成者】【養魚家】の効果が上がりますし、置いた池に隣接するように《浴場》を置けたならさらに4点増えます。池を木材2に加工する《葦のあばら屋》などで有効利用する手もあります。
序盤に高コストの即時建物を建設するよりは、低コストの加工建物または即時建物を2つ建設した方が大抵は効率的でしょう。
- 資源はなるべく建物で増やす。
これはマニュアルに書かれていませんが、この発想が大切です。
例えば《粘土の湖》は【粘土運び人】2回分のコストで3.5回分の粘土を得られます。資源量だけみれば明らかに《粘土の湖》の方がお得です。
常にこのような分かりやすい違いが出る訳ではありませんし、資源を簡単に増やせる建物が並んでるとも限りません。狙っていた建物を取れるかどうかも分かりませんし、1ラウンドは資源を増やす専門家を3~4人使うことになるでしょう。
ただ、特に2~3ラウンドに「建物で資源をなるべく増やして、建物でカバーできない資源を専門家で補う」という視点で計画し、実行できれば、最終的に20点以上取れる可能性が高まると思います。
ちなみに、一番上にも貼ったこの画像。
初心者2人、上級者1人相手の4人でプレイした時の画像ですが、
1ラウンド目に《粘土の湖》《砂採取場》《湯治場》
2ラウンド目に《貯水槽》《木炭窯》《養樹園》《無料食堂》
3ラウンド目に《粘土置き場》《大工の作業場》《燃料倉庫》《別荘》
4ラウンド目に《木骨造りの家》《水車小屋》《井戸小屋》《倉庫》《桶屋》を建設して41点取りました。
(固定点16点、ボーナス5+6+3+7点、珪砂3点、レンガ1点)
ここまでブン回ることはほぼ無いと思いますが、建物で資源を増やすことを意識すれば3ラウンドまでに建物が6~7、4ラウンド目に建物を4つ(運が良ければ5)で10前後の建物が並ぶでしょう。最終的にはボーナス建物でどれだけ点数が取れるかに依りますが、3-4人プレイだと噛み合えば勝敗ラインの25点前後が見えてきます。
(2人プレイだとバッティングの重要度が上がるので、必ずしもこのような展開になるとは限りません)