機上の九龍

The kowloon on an aeroplane

Youtubeのコメント代わりにブログ書いてみるテスト

今回は「動画のコメントしようと思ったら結構な文字数になりそうなので、何文字になるか実際にブログで実験してみた。」をやってみようと思います。

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犠牲になるのはポメラノドンさんのサクリファイスデッキ。

 

1) デッキ構成

いわゆる金床デッキに《甦りし悪夢、ブレイズ》を導入したデッキですね。

ちなみに、untapped.ggに登録されているスタンダードの金床デッキはこちら。

比較すると、このデッキのキーパーツである《鬼流の金床》4枚は当然として、

《ヴォルダーレンの美食家》《税血の収穫者》《電圧のうねり》《実験統合機》4枚までは共通。

スタンダーのデッキには共通して《敵対するもの、オブ・ニクシリス》《冥府の掌握》《霜剣山の製錬者》《鏡割りの寓話》が入っていて、共通しないものとしては《不吉なとげ刺し》《血なまぐさい小像》《不運な目撃者》が入っています。

それらのカードを抜いた代わりに入ったり、足されているのがこれらのカード。

アルケミーのカードは《血塗られた刷毛》のみで、《命取りの論争》は現在スタンダードでは使えませんが『バルダーズ・ゲート』で再録されたのでアルケミーでは使えます。《食肉鍵虐殺事件》はアルケミーでは「対戦相手がコントロールしているクリーチャー1体が死亡するたび、あなたは1点のライフを得る。」の効果が削除されています。(いわゆるナーフ)

《血の裏切り》は半分ネタっぽいですが、使えれば効果抜群ですし腐っても血・トークンで捨てれば何とかなるのでアリかなと思います。強いデッキだけを紹介するVtuberさんでもないですし。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/G/GRGR_BG/20210823/20210823052612.png

自分もこういう事をするタイプなんでむしろ親近感。

(《初子さらい/Claim the Firstborn(ELD)》入りの、いわゆるラクドストレジャー)

 

2) 《甦りし悪夢、ブレイズ》

《甦りし悪夢、ブレイズ》は《陰謀団の先手(さきて)ブレイズ/Braids, Cabal Minion(ODY)》のリメイクだと思われます。

Braids, Cabal Minion / 陰謀団の先手ブレイズ (2)(黒)(黒)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) ミニオン(Minion)
各プレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーはアーティファクト1つかクリーチャー1体か土地1つを生け贄に捧げる。

2/2

元のブレイズは手札破壊や布告除去で相手のパーマネントが少ない状態にしてから《陰謀団の先手ブレイズ》を出すと、こちらのパーマネントが多い状態を維持しやすくなり、ハーフロックに近い形を取れます。

シングル価格こそ何度か再販されているため安くなっているものの、統率者戦で禁止されているほどには強力なクリーチャーです。

 

個人的に《甦りし悪夢、ブレイズ》はそこまで強力なクリーチャーではないとみます。統率者戦でワンチャンあるかもしれませんが、少なくともスタンダードでは見かけなくなるでしょう。その理由は

そうしたなら、各対戦相手はそれぞれ、それと共通のカード・タイプを持つパーマネント1つを生け贄に捧げてもよい

つまり相手にも選択肢があるからです。

「捧げる」ではなく「捧げてもよい」であるため、例えば対戦相手がクリーチャーを《黙示録、シェオルドレッド》しかコントロールしていなかった場合、こちらがクリーチャーを生贄に捧げても《黙示録、シェオルドレッド》を生贄に捧げてはくれず、1ドローとライフは帳消し、となるでしょう。ロック性能は無いに等しいと言えます。

 

では全く使えないか?と言われるとそうではありません。

そうしなかった各対戦相手につきそれぞれ、そのプレイヤーは2点のライフを失い、あなたはカード1枚を引く。

基本的には相手がコントロールしていないタイプのパーマネントをサクって、1ドローと相手に2点ダメージを狙うことになるでしょう。こちらのサクるパーマネントの価値が低い方が効率的なため、血・トークンや宝物、1/1の構築物がワラワラと出てくる金床デッキとは好相性です。もちろん対戦相手に返さなきゃならないクリーチャーなら、最高としか言いようがありません。

 

3) 《血塗られた刷毛》

永廻檸檬さんが最近「最近は2マナ3マナで簡単にアド取っていくカードが多すぎる」とボヤいてますが、《血塗られた刷毛》もそんなカードのうちの1枚です。

例えば《鏡割りの寓話》は時間差はあるもののルーティングをしつつ強力なクリーチャーを何故か2体出すことができるぶっ壊れエンチャントです。

対して《血塗られた刷毛》は出てくるクリーチャーこそ0/1が1体だけですが、その1体である《血の芸術家》は言わずとしれたパワカ。それに黒マナを足すだけでエンチャントと血・トークンが付いてきます。言い換えると3マナで場に出た瞬間にパーマネント3つ出てきます。訳がわかりません。

私は《太陽の神のお告げ》くらいしか3マナでパーマネント3つ出すカードを他に思いつきませんでした。

基本的には相手がコントロールしていないタイプのパーマネントをサクって、1ドローと相手に2点ダメージを狙うことになるでしょう。

先程こう書きました。パーマネントの数を水増しするカードな時点で《血塗られた刷毛》は《甦りし悪夢、ブレイズ》との相性は良いですが、出てくるパーマネントが3種類ある点、特にエンチャントをサクる選択肢が増えるのはさらに魅力的です。もちろん《血の芸術家》がサクリファイスデッキ用のクリーチャーなので相性が良いというのは言うまでもありません。

 

4) 《命取りの論争》

スタンダード落ちする前までは金床デッキで4積されていたカードです。このため金床デッキはローテーション後ロングゲームに弱くなったんじゃないかなと思ってます。(が、実際は知りません)

Skulltap / 頭叩き (1)(黒)
ソーサリー
この呪文を唱えるための追加コストとして、クリーチャーを1体生け贄に捧げる。
カードを2枚引く。

この手の「サクってカード2枚引く」カードはスカージの《頭叩き/Skulltap(SCG)》が起源ですが、リミテッドですらほぼ見向きもされなかったカードです。

というかカード画像見てもこんなんあったっけ?状態(苦笑)

(ちなみにイラストはブレイズです)

 

それがインスタントになった上位互換《祭壇の刈り取り/Altar's Reap(BFZ)》や、さらに上位互換でアーティファクトもサクれるようになった《高くつく略奪/Costly Plunder(XLN)》になって使われたかどうかは知りませんが、《高くつく略奪》のさらに上位互換で宝物・トークンを出すようになった《命取りの論争》は《ひきつり目/Eyetwitch(STX)》《よろめく怪異/Shambling Ghast(AFR)》と共にスタンダードを席巻し、ヒストリックやパウパーでも使われる強カードとなりました。

 

なぜこれほどの強カードになったのか。wikiにはこう書いてあります。

登場時のスタンダードには類似カードとして村の儀式/Village Ritesが存在する。どちらも除去やチャンプブロックに対応してアドバンテージを稼げるのは同じだが、命取りの論争は1マナ重いためコンボ用としては取り回しが悪いという弱みと、腐っているアーティファクト(宝物など)をドローに変換することができるため手詰まりの打破に優れ、出た宝物がそのまま次の生け贄の弾になってくれるため腐りにくいという強みがある。

命取りの論争 M:TG WIKI

《村の儀式/Village Rites(KHM)》も同時にスタンダード落ちしたため、《勢団の取り引き/Reckoner's Bargain(NEO)》を試すプレイヤーが直後に散見されましたが、案の定見なくなりました。

 

《命取りの論争》には「腐りにくい強み」があります。カードの効果で言えば「宝物・トークン1つを生成する」が類似カードと似て非なる大きな差を生み出したと言えます。

 

例えば《高くつく略奪》は1度使ってしまうと、さらにもう1体クリーチャーが必要です。場にクリーチャーやアーティファクトがなくて、手札にクリーチャーやアーティファクト・カードがなければ、まずそれを「引き」「唱え」「カウンターされずに場に出て」「マナが残って」はじめて《高くつく略奪》を使えます。マナが残っていなければ、土地がアンタップするまでクリーチャーが除去されない条件が加わります。それまで《高くつく略奪》は腐っています。

結果として4積みするにはリスクが伴うカードとなります。

 

《命取りの論争》は1度使った場合、場にアーティファクトである宝物トークンが出るので、マナが残ってさえいれば上記の手間をまるごと省略できます。1枚目の《命取りの論争》は腐ることがありますが、1枚目を使った時に出た宝物を残せてれば、2枚目3枚目は腐りにくくなります。

結果として積めば積むほどメリットがある=4積推奨のカードとなります。

 

「宝物・トークン1つを生成する」の文字列のある無しでこれだけ差がつくため、結果として使用頻度が劇的に変わりました。いかに《命取りの論争》が代えの利かないカードになったかが分かると思います。

 

何が言いたいかというと

このデッキにはスタンダードで使えないカードは2種類しかありませんが、

《血塗られた刷毛》《命取りの論争》の2枚入るだけで、このデッキはアルケミーのデッキだと言い張れると思います。

いやー、いいデッキじゃないでしょうか。

 

5) 《実験統合機》

ただ、《実験統合機/Experimental Synthesizer(NEO)》だけは少々疑問です。

1枚でカード3枚分になる可能性のあるカードですが、上振れがある分下振れも大きく、唱えられないカードを追放して終わる事がままあると思います。

個人的に金床デッキはそんなに使ってませんが、起動型能力の侍トークン出す行為はあくまでマナフラッド受けであって、あまり起動しないんじゃないですかね?

それを踏まえた上でもスタンダードのデッキに4積されくらいには相性が良いのは確かですが、残念ながら《甦りし悪夢、ブレイズ》との相性が良いとはお世辞にも言えないと思います。《甦りし悪夢、ブレイズ》で《実験統合機》をサクった場合、《電圧のうねり》《命取りの論争》しか唱えられませんから。

好みの問題かもしれませんが、個人的には《実験統合機》が《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker(NEO)》を押しのけて入るカードじゃないと思います。現状《鏡割りの寓話》は赤ならアグロ以外でほぼ入る強カードですが、

神河:輝ける世界の発売当初はクリーチャーになるまで悠長、速攻を持たない、能力起動にマナが必要、などの本家キキジキと比較してのネガティブな面が目立ったせいか、スタンダードでの使用率は低くジョニー向けの一枚と見なされていた。しかし大規模大会にてこれを採用した赤系デッキの活躍が相次いだ結果評価が一変し、使用率とシングルカード価格が急上昇した。

鏡割りの寓話 M:TG WIKI

こう書いているように、そもそもジョニーにとっても相当使えるおもちゃなんですよね。

金床デッキでは何といっても《税血の収穫者》とのコンボですが、《血の芸術家》を増やして《食肉鍵虐殺事件》で全てを巻き込んでも良いですし、

相手のクリーチャーをパクって

それを増やして殴ることも可能です。ETBやPIG持ちならさらに好都合。

序盤に《鬼流の金床》を安定して使える点では《実験統合機》に軍配が上がりますし、3マナ域が渋滞することは気になりますが、楽しくデッキを使うなら《鏡割りの寓話》かなぁとは思います。

 

6) 実験結果

4778文字でした(本文のみ)。