機上の九龍

The kowloon on an aeroplane

空論 テラフォーミング・マーズ(1)

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現時点での『テラフォーミング・マーズ / Terraforming Mars』の見解を纏めておきます。

通常の更新を放ったらかしにして何書いてんねんって話ではあるのですが、大阪ゲムマに攻略本が出るって話なんで、それに感化される前に自分の考えを書いておこうかと。

(追記:大阪ゲムマではなくて東京らしいです。やらかしたー。)

とは言ってもプレイ回数11回しか無いんで、アテにはなさらぬよう。

 

※注

当時の記事を残していますが、修正版の方が参考になるとは思います。

空論 テラフォーミング・マーズ(6)

基本セット12企業の評価 『コロニーズ』までの拡張対応版です。

空論 テラフォーミング・マーズ(7) 

拡張15企業の評価 『コロニーズ』までの拡張対応版です。

 

 

1.プレイ人数によるゲームバランスの変化

1-5人用のゲームなんですが、1-2人ではやった事ないんで割愛。

以前にも書きましたが、このゲームの特徴の1つとしてグローバルパラメーターが全て上限に達するのが終了条件というのがあります。

一定のラウンド数が経過したり、誰かが一定の得点を取ったら終了という条件ではなく、言わば場のリソースを複数枯らせる条件は若干珍しい気がします。山札が尽きるのが終了条件なゲームは珍しくないですけども。

結果としてどういう事が起きるかというと

 

1) プレイ時間の変化が少ない

Lupin's Weblog でルパンさんが公表している概ねのプレイ時間を見てみると、プレイ人数が多かろうと少なかろうと時間が掛るときには掛るし、掛からない時には掛からないという実質何も分からない事になるのですが...

データ数が少ないのであくまで参考にしかなりませんけど

3人プレイ 11.88ラウンド(17回)

4人プレイ 9.88ラウンド(8回)

5人プレイ 8.60ラウンド(5回)

となり、プレイ人数が増えれば増えるほどラウンド数が減りそうです。

各ラウンド各プレイヤーに掛る時間が同じという前提があれば、プレイ人数が増えてもプレイ時間の変化は少ないとは言えそうです。実際は3人プレイの方が後半に1人あたりの時間は伸びるので、より変化は少なくなると思われます。

 

2) プレイ人数が増えるほどラウンド数が減るため、1人あたりの手番も減り、結果として1人あたりの得点も減る

ラウンド数自体が減るので1人当たりの手番が減るのは当然です。

その結果、プレイ人数が増えるほど生産力を高めたり毎ラウンドアクションを使うようなカードが弱めに、隕石のような即時効果を持ちつつ直接 / 間接的に得点の入るカードが相対的に強くなります。

 

3) プレイ人数が増えるほどコンボが成立しにくい

ラウンド数自体が減るので引けるカードも少なくなり、結果としてコンボが成立し辛くなります。

プレイの条件に科学タグを必要とするカードや、木星タグ1つにつき1VPといったカード、そして電力タグを持つカードは電力を消費するカードと一緒に使ってナンボなので、プレイ人数が増えるほど重要度は下がります。

 

4) プレイ人数が増えるほど標準プロジェクトと称号/褒章 が重要になる

コンボが成立しにくい≒カードの効果が下がる となるので、標準プロジェクトが相対的に強くなります。また、生産力があまり上がらない状況では称号/褒章の得点比率が高まります。

 

2.企業カード

ぶっちゃけあまり時間が無いんで、とりあえず書いておきたい事を優先的に書きます(苦笑)

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企業カードもプレイ人数によって効果的かどうかが変わります。

例えば【テラクター / TERACTOR】の「地球タグのついたカードのプレイ時、コスト-3メガクレジット」という効果はプレイ人数が増えるほど効果的では無くなりますし、生産力を持つ企業はラウンド数が減る影響で価値が目減りします。

逆に他のプレイヤーのアクションでも効果を発動する企業や、例えば【テラクター / TERACTOR】の初期クレジット60のように、プレイ人数が増えても変わらない効果は相対的に重要となります。

そして企業全般に言える事ですが、多人数プレイになればなるほどプレイするカード自体が減るので、何かしらのカードを使った時に効果が出る能力は価値が下がり、最初に配られたカードなら確実に発動するため、より初期手札との相性が重要になります。

 

【テラクター / TERACTOR】

タグ:地球

初期クレジット:60

効果:地球タグのついたカードのプレイ時、コスト-3メガクレジット

(地球タグ22枚)

通称「逆菱」

初期クレジットが多いのは魅力ですが、例えば標準プロジェクトで電力1上げると、残りクレジットが【トールゲート / THORGATE】とほぼ変わらなくなることからも分かるように、それほど強い効果ではありません。

地球タグは前提条件のあるカードが【恒星間植民船 / Interstellar Colony Ship】のみと比較的打ちやすい部類ですが、地球タグのあるカードが多くない(そのうちの一枚がコスト1の【地球オフィス / Earth Office】)ので効果は微妙。

そもそも自身の地球タグのメリットが【カルテル / Cartel】【ミランダ・リゾート / Miranda Resort】の効果を1増やすだけってのがもう...ね。

どうせ効果発動には期待できないので、基本的には多人数プレイの方がマシなのかもしれません。

 

【クレディコー / credicor】

タグ:なし

初期クレジット:57

効果: 20メガクレジット以上のカードや標準プロジェクトのコストを支払った際、4メガクレジット獲得

(20MC以上のカード32枚)

基本的にコスト軽減効果はその後プレイされるカードコストが低ければ低いほどコストパフォーマンス(cp)が上がるので、効果にキャップを掛けられてる時点でそれなりの能力にしかなりません。

20MC以上のカードや標準プロジェクトを打った時にキャッシュバックという効果自体は少人数向けですが、基本的に軽いカードよりも重いカードの方が単体のcpが高いようにデザインされている上に、多人数プレイの方が標準プロジェクトの重要度が増すという意味ではむしろ多人数プレイ向きか。

 

【トールゲート / THORGATE】

タグ:電力

初期クレジット:48 電力産出+1

効果:電力タグのついたカードのプレイや標準プロジェクト「発電所の設置」実行の際、コスト-3メガクレジット

(電力タグ27枚)

効果自体は電力タグを何枚引けるかに掛かってるので、少人数向けの企業。

...という風に見えるかもしれません。

実際に少人数向けの企業なんですけど、このゲームにおいては電力産出を上げるだけではあまり意味が無く、電力を消費するカードがあって初めて意味が出てきます。そもそも電力を消費するカードさえ引けば、「発電所の設置」のコストが下がるこの企業を使う意義が出てきます。

電力産出を必要とするカードは都市/建材タグ9枚、【商業特区 / Commercial District】など建材タグのみが11枚、他に【ハッカー集団 / Hackers】【AIセントラル / AI Central】【シャトル / Shuttles】の23枚。

それに加え【物理学総合研究所 / Physics Complex】のように電力を消費するアクションカード9枚。計32枚のカードをどれだけ引くか。そのカードが使える状況にあるかによって強さが激変する企業だと思われます。まぁ使ったこと無(ry

 

【インヴェントリックス / INVENTRIX】

タグ:科学

初期クレジット:45

効果:ゲーム最初のアクションとしてカード3枚引く

気温、酸素濃度、海洋配置数の各条件を、それぞれ+2もしくは-2として扱うことができる

(酸素濃度条件23枚、海洋条件12枚、気温条件21枚、計56枚)

弱いとされている企業の割には仲間内で使ってる頻度が高い気がする。

グローバルパラメーターの条件を±2できる効果自体は展開がスローな少人数向けですが、そもそも【インヴェントリックス / INVENTRIX】でなければそのカードが出せない状況がどれほどあるかと言われると微妙で。個人的には【大クレーター・ドーム / Domed Crater】を酸素濃度9%の時に引いたものの、ルパンさんが初手で緑地配置するのが目に見えてて捨てた苦い記憶が(苦笑)

一応、9段階しかない海洋条件が一番効果を発揮し易いのは確かですが、海洋条件が一番少ないという。

むしろプレイ人数に影響を及ぼさないドロー効果と、多人数戦では取りにくい科学王を多少なりとも狙いやすくなるという意味では多人数向きか。生産力も無いですし。

 

【サターンシステムズ / SATURN SYSTEMS】

タグ:木星

初期クレジット:42 チタン生産+1

効果: このカードを含め、木星タグがプレイされるたび、自分のクレジット産出+1

(木星タグ12枚 宇宙タグ42枚)

効果自体は多人数向きですが、木星タグがわずか12枚。

しかも木星タグと同数TR上昇する【テラフォーミング・ガニメデ / Terraforming Ganymede】に「木星タグごとに1VP」が3枚と、多人数ではお目にかかりそうにないカードが4枚も含まれているので少人数向きか。【小惑星採掘組合 / Asteroid Mining Consortium】打たれてむしろ痛いって場面もありそうで。

木星タグの付いているカードは【開拓民訓練キャンプ / Colonizer Training Camp】【小惑星採掘組合 / Asteroid Mining Consortium】以外は宇宙タグも付いているので、生産されたチタンを使って「木星タグごとに1VP」のカード含めて3枚くらい打てれば御の字でしょう。

 

【ヘリオン / helion】

タグ:宇宙

初期クレジット:42 発熱生産+3

効果:発熱をクレジットとして使用可能。逆は不可。

(発熱生産+ 11枚)

効果自体は明らかに少人数向き。

強いと言われてる企業ですが、発熱を得られるカードが【最適化された空力ブレーキ / Optimal Aerobraking】を含めても12枚。もちろん電力生産を上げるカードも含めればもっと増えますが、個人的にはそんなに強い企業なの?と疑問符。

MC生産上げるよりも発熱生産上げる方がコストが安いので、使えれば効果的なのは間違いないんですけど、発熱をそのまま温度上昇に使った方が良いのか、お金に回した方が良いのかもよく分からないですし。後半ゴミになりがちな発熱を上げても有効活用出来るってのは確かに利点なんですけど、そもそも俺発熱上げたのってほとんど無いんでね...

一回使ってボロ負けしたから弱いと感じるだけ、だけなのかなぁ。

 

【国連火星動議 / UNMI】

タグ:地球

初期クレジット:40

効果:自分のTRが上昇した世代で、3メガクレジット支払えば追加でTR1上昇

3MC1点は一部の例外を除けばという条件しか付かないほど高効率。弱いわけがありません。

効果はラウンド数が多い少人数の方がトリガーしますが、標準プロジェクトで温度上昇すれば【不活性ガスの解放 / Release of Inert Gases】(TR+2,14MC。手札にキープするコストに3MC掛ることを考慮すれば実質17MC)と同様の事が出来るってのが重要だと思います。

基本的にはグローバルパラメーターを上昇させるイベントカードを毎ラウンド打って早期決着を図るのが理想か。何かしらのコンボが成立しなくても使えるという意味では恐らく多人数向きの企業。タグなんぞ飾りです。

 

【タルシス共和国 / THARSIS REPUBLIC】

タグ:建材

初期クレジット:40

効果:ゲーム最初のアクションとして1都市を配置(無料)

火星上に都市が配置されたらクレジット産出+1。自分で配置したら3メガクレジット獲得

ぶっ壊れ企業。よほどの事が無い限り最初に都市を配置でき、3MCバック&クレジット生産+1。このアクションのMC計算だけでも26+ラウンド数だけお得なのに、設置ボーナスでチタンやらカードやらが手に入りつつ、他のプレイヤーが都市を配置する度にクレジット産出+1とか訳わかめ。

自分が配置したら3MC獲得というボーナスは少人数向きですが、初手で都市+1という初期資産の多さは早期決着の多人数向き。クレジット産出+1の効果はもちろん多人数向きなんで、総合的に見れば多人数向きの企業。

とは言え、3人プレイでも最強の部類だとは思います。

 

【エコライン / ECOLINE】

タグ:植物

初期クレジット:36 初期植物:3 植物生産+2

効果:アクションによる変換の際、植物8個ではなく7個で緑地1に

生産が付いてることもありますが、それ以上に植物除去カードが8枚、植物生産を下げるカードが5枚と被害を被るカードが13枚あり、プレイヤー人数が増えれば打たれる確率が上がる事を考慮すると、明らかに少人数向けの企業。というか4~5人で使っちゃダメな気がする。

効果自体は相当強いんですけどね。

 

【採掘ギルド / MINING GUILD】

タグ:建材×2

初期クレジット:30 初期建材:5 建材産出+1

効果:配置ボーナスで建材やチタンを獲得したら、建材産出+1

(地上8箇所、海洋2箇所)

初期建材を持ち、建材タグが2つあって建設師を取りやすいという点は多人数向きだけど、建材産出がある上に増やしやすい、配置ボーナスの競争率が下がるという意味では少人数向き。建材タグは67枚と豊富にあるものの、それを有効活用できないとあまり意味が無いので、基本的には少人数向きか。

歯車が噛み合うと止められない印象はある。

 

【惑星間シネマティックス / INTERPLANETARY CINEMATICS】

タグ:建材

初期クレジット:30 初期建材:20

効果:イベントのプレイ時、2メガクレジット獲得

(イベントタグ38枚)

生産ボーナスが無い代わりに初期建材が20と、実質70MCは最多。

その上短期決戦向きなカードの多いイベントカードのキャッシュバック付きと、明らかに多人数向き企業。

2MCキャッシュバックの効果よりも、初期建材20を早めに有効活用出来るかどうかを判断材料にした方が良さそう。そもそも建材を使うイベントカードが存在しないって段階で割と不遇な企業。

 

【フォボログ / PHOBOLOG】 

タグ:宇宙

初期クレジット:23 初期チタン:10

効果:チタンの価値が+1メガクレジット

(チタン生産カード9+2枚 チタン獲得カード3枚 宇宙タグ42枚)

 チタン生産カードが【採掘地帯 / Mining Area】【鉱山採掘権 / Mining Rights】を含めても11枚、チタン獲得カードが3枚しかないので、基本的には初期63MC持ってる企業と思った方が無難。配置ボーナスでチタン1個を得ても、他の企業に比べて1MC得しただけですしね...

とは言え、チタン生産力が運良く上がり、コストは重いがcpはもっと高い宇宙タグカードをバンバン打てると【MINING GUILD】以上に手が付けられなくなります。基本的には多人数向けの企業だけど、チタン生産を上げるカードを引いてるなら少人数でも、ってな感じでしょうか。

 

3. プロジェクトカード

本当なら個別にカード評価したい所ですが、今現在4/1の朝6時なんで...(苦笑)

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多人数向きのカード

 全てのプレイヤーから影響を受けるカード

単発効果のあるカード(生産力を増やさない即時効果カード)

使用条件がない、もしくは少ないカード

得点カード

1つめは、具体的に言うと【愛玩動物 / Pets】【ローバー建設 / Rover Construction】【移民都市 / Immigrant City】の都市系カード3枚。

2つめは【彗星曳航 / Towing a Comet】のようにグローバルパラメーターを上昇させる効果がある、そして/または 植物+2の資源が得られるようなカード。

3つめは例えば【反重力技術 / Anti-Gravity Technology】のような条件が厳しいカードは5人プレイではほぼゴミです。誰かの生産力を下げることが条件のカードは、その条件をクリアする事自体は多人数プレイの方が容易になりますが、その類のカードは動物のような残りラウンド数が少ないと効果的ではないアクションカードか【小惑星採掘組合 / Asteroid Mining Consortium】のように他の条件が多人数では厳しいカードがほとんどなので使いにくいでしょう。

4つめはロースコア決着になる場合が多いので、得点に直結するカードが相対的に強くなります。

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少人数向きのカード

生産力を上げるカード(前半)

アクションカード

コンボ向きのカード

使用条件の厳しいカード

1,2つめは残りラウンド数が多ければ多いほど効果を発揮するので、少人数の序盤が最も威力を発揮します。

コンボ向きのカードは単体では何もしないカード。言い換えると【愛玩動物 / Pets】【ローバー建設 / Rover Construction】【移民都市 / Immigrant City】以外で永続効果のあるカード。例えば【最適化された空力ブレーキ / Optimal Aerobraking】。また、電力タグのあるカードも電力を消費するカードがあってはじめて効果的になるため、このカテゴリーに入ります。

使用条件の厳しいカードは、グローバルパラメーターが条件なら条件を満たす期間が多人数プレイよりも長いので比較的打ちやすいでしょうし、3人プレイなら【反重力技術 / Anti-Gravity Technology】も決して夢ではありません。(大抵は夢と終わりますが)

ただ、動物はともかく【小惑星採掘組合 / Asteroid Mining Consortium】【大断崖組合 / Great Escarpment Consortium】の2枚に関しては、少人数向けとは言えないかもしれません。

少人数でも後半になれば生産カードの重要度が下がり、得点カードの重要度が増します。

 

4.まとめ

今回はプレイ人数が影響を及ぼす範囲に絞って書いてみました。とりはえずは満足...かな?

一応『空論 テラフォーミング・マーズ(1)』と銘打ちましたが、(2)があるかどうかは未定です(というか暇が無い)

最後にもう一度。プレイ回数11回しか無いんで、くれぐれもアテにはなさらぬよう。

 

ブログ内テラフォリンク

空論 テラフォーミング・マーズ(2)

基本セットのみの企業分析と変換レートについて。

空論 テラフォーミング・マーズ(3)

各ボードについて書いています。

空論 テラフォーミング・マーズ(4)

ボード以外の拡張の特徴について書いています。

空論 テラフォーミング・マーズ(5)

『プレリュード』『コロニーズ』のルールについて。

空論 テラフォーミング・マーズ(6)

基本セット12企業の評価 『コロニーズ』までの拡張対応版です。

空論 テラフォーミング・マーズ(7)

拡張15企業の評価 『コロニーズ』までの拡張対応版です。

空論 テラフォーミング・マーズ(8)

『動乱』のルールについて。

空論 テラフォーミング・マーズ(9)

『動乱』企業評価について。